坂上:まず会社名とお名前、事業内容や会社の規模について伺わせてください。
﨑元則也社長(以降「﨑元社長」と表記)
アークフィール株式会社代表取締役社長・﨑元則也です。
事業内容は、店舗出店の支援、集客支援のウェブマーケティング、コンストラクション事業です。売り上げが約14億円になります。現在、従業員数は19名です。
坂上:次に社長様のプロフィールをお伺いします。お歳やこれまでの経歴をお聞かせ下さい。
﨑元社長:50歳、福井県生まれ、一級建築士の資格を取り、大手ゼネコンで原子力発電所などの大型プロジェクトを中心に建築を学びながら、多数の商業施設、マンション、オフィスを手掛けました。2005年アークフィール株式会社を設立し、現在にいたります。
坂上:御社の顧客は誰になるんですか?
﨑元社長:大きく分けて3つありまして、1つ目が店舗出店支援事業部で、店舗を出店する人のために、総合的に商業施設の中に入っている会社に貢献していこうということで、そこのデザインや工事をするという形です。次に、ウェブマーケティング事業部というのがあって、それは自社内の集客と、同業者に対してウェブサイトを作ったり、コンサルティングしたりというサービスをやっています。もう一つは、昔からやっていた、ビルのリニューアルとかそういった部門があり、この3つの事業をやっています。
坂上:御社の成長率はどのようになっていますか?
﨑元社長:成長率は、だいたい5年前、ドラッカーマネージメントを始める前に9億8千万くらいだったのが、2010年くらいにいったん3億くらいになりまして、そこから年々ドラッカーマネジメントを導入していって、去年の段階で14億くらいです。
坂上:創業されるまではどんなお仕事をされてたんですか?
﨑元社長:建設会社に就職して、最初は現場監督とかもやっていて、だんだん役職も上がっていき、その所長というか現場を管理する管理部みたいな部署と、資材の調達でお金周りの業務をやってました。だから営業とかはやってないんです。そういうところがウェブマーケティングにつながっています。
坂上:現在の会社を創業されたきっかけをお聞かせください。
﨑元社長:前の会社はただ人間関係がいやになって辞めたんですが、それから一番最初に考えたのは、建設会社+アルファで何かできないかということでした。以前勤めていた会社では、自衛隊基地のジェット格納庫とか、市の体育館とか大きなものをやってたんですが、大きなビルを建てた後に、いろんなテナント工事とか入るじゃないですか。最後までビルと関わることがなかったので、今までやってきたことよりも、その延長線上の部分がいいと思って、店舗の出店やテナントの方に行ってみようかなと思ったのと、実際に資金繰りのこともあったんで、小さな所から始めていった感じですね。
坂上:経営理念はいつごろつくられたんでしょうか?
﨑元社長:創業してからしばらくはなかったですね。1年、2年たってからだと思います。
坂上:その時の社員は何人くらいですか?
﨑元社長:5,6人ですね。実際に経営理念というのが会社にあるんだというのが分かるようになったのは、ドラッカー・マネジメントを学ぶようになってからですね。
坂上:ドラッカー・マネジメントを学び始められたのは5年目くらいですね。そのときはドラッカーマネジメントを学んでから作ったんですか?
﨑元社長:学びながらですね。本当に経営理念というのは必要なんだなということが理解できたので。そのドラッカー塾の中で、経営理念をつくっていくプロセスというのも学ぶんです。
例えば、「この質問に社内で答えて下さい」というのがあって、まずは経営チームを作りましょうという話だったんですね。それで社内に経営チームを4名で作りました。「我々の使命は何だ」とか「我々の強みはなんだ」とかいろんな質問があるわけですね。それに全部答えを出していくまで 1年半くらいかかって、とりかかってから、自分たちの納得のいく答えを出すのに、やはり1年くらいかかりました。それを毎週土曜日の朝から集まって、時には夜までやったりということを毎週繰り返して、ようやく1年くらいかけて使命や顧客、顧客の価値、自分たちの計画、成果とはなんだ、ということの答えを出していって、やっと経営計画書みたいなものが一つ出来上がったという感じでした。
それと同時進行で、クレド的なものと、今年は何をやるのとかといったマーケティング目標やイノベーション目標、人的目標や資材目標も決めていきました。そこで1クールのドラッカー塾が終わったんですが、それで「ここはもうちょっと学ばないと本当に会社に落しこめないかな」と思って、次の2年目にまた行って、それでだんだんブラッシュアップしてきています。そういう経営計画を毎年10月の終わりぐらいから11、12、1月と3カ月かけてつくっていくという作業をしていて、今ちょうどま最中です。
坂上:この経営理念という形ですが、ドラッカー塾の全体像の中ではこの理念があり、マーケティング目標とか、イノベーション目標とかがありますよね。これはどちらかというと戦略側という位置付けなんですか?
﨑元社長:でも使命の中にあるものなので、使命ありきですよね。我々の存在意義は何かというところから、一つ一つのマーケット目標、イノベーション目標ができて、さらに事業ごとに目標があって、個人の目標があって、その個人の目標の日々の業務が、使命に結び付いてる状態というのが理想の姿かなと思いまして、そこにつなげられるように毎日のルーティンに、どう落としこめるかということを重要視しています。
坂上:経営理念をつくって気づいたことってありますか?
﨑元社長:そもそもこの経営理念なくして企業運営というのはないなというのが気づいたことですね。
坂上:経営理念を作った最初のきっかけは、業績のことがあったからですか?
﨑元社長:違います。経営者として仕事を初めてから、本も読んで勉強しなきゃいけないなと、いろんなセミナーとかに行きながら、毎年300冊くらいは本を読むように努力しようというふうに始めたんですが、マネージメントにしてもマーケティングにしてもイノベーションにしても点でしかわからなくて、そういったマネージメントを体系的に学ぶところはどこかなとずっと悩んでいるところがありました。それらを何とか一つの箱に収めたいというか、整理する箱がほしいと思ってドラッカー塾に行ったら、そこがまさにその箱でして、マネージメントを体系的に学ぶことができたので、それがすごく良かったというのが気づいた点ですね。
坂上:ドラッカー塾に会うきっかけは何だったんですか?
﨑元社長:それは鮒谷さんのご紹介です。それまではドラッカー塾っていう存在さえ知らなかったので。
坂上:聞いても行かないという選択もあったと思いますが、行こうと思った一番の理由は何ですか?
﨑元社長:それは勧められて、自分で言うのも変ですけど素直ですから、「いいよ」って言われたら「じゃ行きます」と言っちゃう方なので。
坂上:経営理念をつくる工夫とか苦労はありましたか?
﨑元社長:作るのに1年間くらいかけたんですが、ドラッカー塾の設問って、一つ一つは本当に1行の質問なんですね。たった1行の質問に対して、何週間もかけてああだこうだとみんなで意見交換してやっとできるわけです。だから本当に深いものが出来てくるというか、言葉とか表現とかは、ちょっとずつ変わってきたりするんですけど、根本的な部分は変わってないんじゃないかなと思ってます。
坂上:毎週土曜日10:00から13:00までの3時間を50回続けたイメージですか?
﨑元社長:10:00から初めて14:00になったり15:00になったりでしたけど、気付いたら夜暗くなってたということがありました。
坂上:それを5人でされたんですか?その時で社員数は何人だったんですか?
﨑元社長:12、3人ぐらいだと思います。
坂上:ということは役員+部長職という感じですか?
﨑元社長:そうですね。経営チームという言い方で今はやってますね。
坂上:それはご自身が当時は45歳ぐらいで、そのメンバーの方はおいくつくらいだったんでしょうか?
﨑元社長:20代30代で半々くらいです。
坂上:例えば「我々の使命は何か」というところから、どういうふうに広がって6時間使ってる感じだったんでしょうか?
﨑元社長:それぞれ個人が意見を出す時に、ストップをかけないというか、自由闊達にいろんな意見を混ぜ合わせながら、みんなが出しきった時に言葉をまとめていくという形をとりました。とにかく言ったことは否定しないでずっと発散していくミーティングというのを中心にやっていきました。
坂上:振り返るとそのやり方でよかったですか?
﨑元社長:時間はかかったんですが、浸透するには早いんじゃないかと思います。運用ベースでは楽になるイメージですね。短くやっても言葉としてはまとまるかもしれませんけど、本当に日常のルーティンにどこまで落としこめるかというと疑問だと思います。
坂上:例えば使命といった時に、こちらの言葉、「空間」「情報」「作る」とかそういうものを付箋に張っていったイメージですか?
﨑元社長:大きなモニターに、エクセルを使って言いたいことを打ち込んでいって、最後に見直して、「じゃあこれだよな」と、そういうやり方ですね。会議もそれでやっています。
坂上:経営理念は必要だと思いますか?
﨑元社長:経営理念がないと何をやってる会社かわからないんじゃないでしょうか。「とりあえず儲ければいいんだ」というふうに始めるのはいいと思うんですが、何年かある程度仕事をしてくると、自分で気づくんじゃないかと思うんです。自分は何のためにやってるのかと。なので、とりあえずでもいいので、やはり何か持ってもらいたいと思います。心の中ではみんな持ってるんじゃないかなと思いますけどね。それが言葉になってなかったりとか、こういうふうに形になってなかったりするだけで、実は何かあるんじゃないかと思いますけど。
坂上:イメージとしてここに100人の経営者がいて、2:6:2で経営理念が大事だという人と、まあ、必要なのかなという人と、そんなものいらないという人がいるとします。すると、ご自身は創業当時、どの辺に入ってましたか?
﨑元社長:当時は、いろんな本読んでたんで、あった方がいいんだろうなと言うのは間違いなくありました。
坂上:10年前の自分がここに座ってて、今の自分と話をするとしたら、今は非常に強い理念や思いがあると思うんですが、「経営理念なんか必要なんですか」と聞かれたらその自分に何と答えますか?
﨑元社長:本当に必要なのかどうかは経験してみないと分からないと思うんですよね。その時に「絶対作った方がいいよ」と言っても多分聞かないんじゃないかと思います。例えば、今の理念、このクレドがあることによって、だれも指示しなくても会社というのは運用していきますし、みんながそれぞれ自分で考えて自分で行動して、自分で結果に責任をとる、これが真の自由じゃないかなと思っています。そして、そうやって会社の運用をしていくと、皆が生き生きと仕事ができると思いますし、自分も楽ですし、「あいつちゃんとやってるのかな」とかは心配しなくていいようになってくるんです。
坂上:真の自由という言葉はどんなイメージで使われてるんですか?
﨑元社長:ドラッカー勉強会で社内の若手に集まってもらって、月に一回本を読み合わせしたりするんですけど、その時にも真の自由とはというふうに話すんですが、「じゃあ不自由な状態って何」って聞くんですよ。自分達の毎日の仕事で不自由を感じる時は何かと考えた時に、新入社員で入った時、右も左も分からない状態というのは不自由じゃないかなと思うんです。慣れない場所に行ったり、慣れない仕事を始めた時というのは自由じゃないなと思うんで、だからこそ、自由になるためにも学ばなきゃいけないんですよ、という話をします。仕事も、業務内容も学ばなきゃできないし、学んで初めて、自分で決めて自分で行動ができると。だからこそ僕たちはマネジメントを学んでるんですよと、よく話をしていて、そういうことが大事なんじゃないかなと思っています。
坂上:業積が良くなって、何のために働いてるんだろうと考える人と、業績が悪くなってしまって、どうにもならなくなってしまって考える人といると思いますが、ご自身はどういう感じだったんでしょう?
﨑元社長:どちらかというと僕はアカデミック好きな方なので、いろんな本を読んで覚えたつもりになっていても、実践に生かしているかというと、何かもうひとつだったんですね。実際に自分はどういう行動をとってるんだというと、そんなにとってないってことが多くて、それは本当の意味でのちゃんとした箱ができてなくて、どの引き出しを開けていいのかわからないような状態になってたのかなと思います。
坂上:経営理念に何を入れたかというと、大事なこととしては何だったんですか?
﨑元社長:これをつくるのに本当にいろんなことがあったんです。これはなぜこういう順番にしてるかというと、我々の仕事は、使命は何かというと、社会は何を求めているか、求めていることに対して、我々が卓越性を持って貢献できることは何か。そしてそれはわくわくするか、ということが使命の概念じゃないかなと自分は思ってます。
坂上:ドラッカーの言葉を引用しながら、自分で咀嚼してる感じですね?
﨑元社長:そうですね。それを考えたときに、自分たちが卓越性を持って貢献できることは何かなと考えたら「空間をつくること」というのがあって、インターネットでは何をやってるのかなと思ったら「情報をつなぐこと」なんだろうなと思ってます。その二つを僕たちは仕事にしてるんですけど、その前に一番思わなくちゃいけないのは、人と人を結びつけたり、空間を作ることによって、そこを使う人やそこに来て楽しむ人や、そういう人たちの思いを大切にしないと仕事というのはもともと進まないと思って、「人を思うこと」を一番に持ってきて、こういう三つの順序になりました。
本当は前のやつとかはもうちょっと長くて、暗記しているかといったら言えない人もいて、ちょっと短くしようという話になりました。ドラッカーさんも「使命はTシャツに書けるくらいの短さじゃないといけない」と言ってましたので。
坂上:ミッションは1行ですが、この下にはたくさんの思いが存在してるわけですね?
﨑元社長:本当にシンプルにしていきました。その作業が非常に時間かかるんですけど、ああだこうだ言って、「 1行で言うと何だ」みたいな感じですね。ちょっとコピーライティング的な要素で、氷山の一角というか、水面下にいろんな思いがあってその中で1個だけ上に出てる感じです。
坂上:その水面下の部分をつくるというか、大きな価値観をみんなで議論するとかそういうところが大事なんですね?
﨑元社長:そこから積み上げたものが一番最後にちょっとだけ出ているといった感じじゃないでしょうか。
坂上:そのプロセスの方がよほど大事だよということなんでしょうか?
﨑元社長:そのプロセスがあるからこそ、それが本当の経営、使命とかミッションになって、本当に浸透していくということになるのかなと思います。
坂上:経営理念を作るときに、経営チームの4人は毎週のように話してますが、その1年半の間は他のメンバーの方は内容を知ってらっしゃったんですか?
﨑元社長:こういうことをやってるというのは順次伝えてましたけど、こういう言葉になったというのはまだ伝えられなかったという感じですね。
坂上:1年半かかってこういうカードやアウトプットができてから浸透させていったんですね。それをやる時はどんな感じでした?
﨑元社長:1日1人が1行ずつ順番に、これに対してのエピソードや、昨日こんなことがあったとか、この「スピード」をもってやったらこういうふうにうまく行きましたよとか、そういうことをシェアしてもらって、それで誰かがそれに対してのフィードバックをコメントするという仕組みにしています。
坂上:それは何時から何時で何分ぐらいでされるんですか?
﨑元社長:朝一で9:00に集まって、10分から15分かけてみんなで社内の掃除をして、そのあとに集まって、こういうクレドミーティングみたいなことをやって、それから仕事を始めます。
坂上:クレドミーティングは10分ぐらいですか?
﨑元社長:話の内容によっても変わりますが10分かからないです。
坂上:それをほぼ毎日やるわけですね?
﨑元社長:毎日やります。
坂上:その時は何人いらっしゃるんですか?
﨑元社長:現場の仕事をしてるので、直行する人もいたり、いなかったりするので本当にいる人だけでやってる感じですね。いつもだと7、8人くらいで交代で回ってる感じです。それを今後、外に出てる人に対して、どういうふうにシェアしたらいんだろうかというのが自分の課題です。週に一回とか、下手すると月に2、3回しか出られない人もいるので。
それを解決する一つの手段として、全体ミーティングを週に一回必ずやってて、来週の予定はこんな感じですとか、今こういうところがポイントですとか、今の機会はこういうチャンスがありますよとか、そういうのをシェアする会をするんですね。その時に、使命のことについて語ったりもしています。あとは年に一回、経営計画発表会をやってて、来年こういうことやりますよとか、みんなこういうふうにやるんでとか、そういうことを言ってもらってます。あとは中間で4半期に一度、経営計画確認会みたいなものをやっています。
坂上:それぞれの時間はどのくらいですか?
﨑元社長:週に一回のミーティングが1時間ぐらいかかります。
坂上:経営計画発表会はどのくらいの時間ですか?
﨑元社長:4時間くらいです。
坂上:その中では経営理念の話はどのくらいの比率を占めるんですか?
﨑元社長:経営理念というか一つのまとめてるシートがあって、経営理念と使命、ビジョン、懇親があり、長期事業構想「5年後こんなことになっていたい」というのがあって、クレドはそんなに変わってないんですけど。次に「顧客はだれか」というのを事業ごとに考えて、次に「顧客の価値」を事業ごとに考えて「事業の成果」何に今年は集中していくんだというところを事業部で考えつつ、「市場地位の決定」「卓越性を追求する」ということもやっています。
坂上:「我々の追及すべき卓越性は何か」ということですね?例えばイノベーション目標といった時にはどういう表現なんですか?数字でいく感じですか?
﨑元社長:文章で行く感じですね。あとは人材の目標、経営資源ですよね。生産性、社会性、利益目標というのをやっていますので、数字の話は最後の最後です。
坂上:人事評価との関連というか、利益が出ないと困りますよね。利益のために働いてるんじゃないけども、継続するためには必要があると。そういうところでいくと、利益の目標とか売り上げの目標は特に強く設定しているというわけではないんですか?
﨑元社長:1年間の売り上げ目標もありますし、各部門ごとのの利益目標もすべてあります。
坂上:ほかには特別に経営理念の勉強会みたいな事はされたりしているんですか?
﨑元社長:ドラッカー勉強会というのを月に一回やってます。
坂上:それは若手の方だけというイメージですか?
﨑元社長:いる人はみんな参加してくれるんですけど、基本は若手です。
坂上:それは時間的にはどのくらいですか?
﨑元社長:1時間ぐらいですね。
坂上:今、経常利益の目標といのはどのくらいにされてるんですか?
﨑元社長:今年とかじゃなくて、5年後にこういう風になりたいというのは、経常3億を目指しています。
坂上:利益率とかいうものじゃないんですね?
﨑元社長:経常額ですね。事業方針で、「規模を求めない経営」というところで、売上は関係なく、経常3億を達成する状態というのを目指しています。
坂上:それをもう少しブレイクダウンすると、今年の目標になってきますよね?
﨑元社長:それがこの5年計画の方になりますね。
坂上:それがいま何年目ですか?
﨑元社長:今年からスタートしました。今まで5年間の数字の細かい目標はなかったので、やはり数字を具体的に細かく設定しないと達成できないなという反省があって、数値目標もしっかり描くようになりました。
坂上:今の時点で経営理念の完成度と浸透度は 100点満点で何点ですか?
﨑元社長:完成度は70点くらいじゃないですかね。例えば「我々はこの圧倒的な真摯さとスピードをもって」という言葉がありますが、日常会話の中に「真摯というのはこういうことだよね」という言葉が聞こえるかどうかというのを自分の評価の対象にしていました。日常の言葉で「ああ、こいつMr.真摯だ」とかそういう言葉が出るようになったんで、それはやはり日常会話に浸透してるんじゃないかなと思います。今はこのクレドをもうちょっと浸透させる方法を考えていて、外に出ている人にどうやって浸透させようかと思って、そのためのアプリを今作成中です。
坂上:浸透の点数は何点ですか?
﨑元社長:70点ですね。
坂上:残りの30点、30点はどんな感じですか?
﨑元社長:5年後の数値計画や、5年後どうなっていたいかを考えたときに、もっとバージョンアップしなきゃいけないというか、やはりもっと目標を高くもってやっていかなきゃいけないと思うので、その分30点ぐらい上げなきゃいけないんじゃないかなと思ってます。
坂上:これ自体ができたのが4年前で、そこからは内容が何%か変わりましたか?
﨑元社長:マイナーチェンジという感じで、5%くらいですね。
坂上:個人の価値観と経営理念の関係でずれが生じることはないですか?
﨑元社長:個人の価値観というよりも、その人がなりたい姿というのがもしあるとすると、それが会社の仕事と合ってないといけないと思います。その個人がなりたい姿に向かう方向と会社の仕事が、同じ方向に向いてないと個人の成長もないと思うので、我々がどれだけ、その人が成長できる仕事を提供できるかがとても大事なことだと思います。わが社に入っていただく前に、こういう事を僕たちは強調して、大事にしてるんですよ、というのは説明しています。あとは仕事を通して理解してもらってる部分もあるんでしょうね。