世に生を得るは事を成すにあり。(坂本竜馬)
人間には生まれながらにしてその人固有の「役割」がある。自分の命は何かを成し遂げるために使われるべきである。それが「使命」である。食べるため、お金を稼ぐためだけに命があるのではない。この言葉にはこういった価値観が表われているのかと思います。
「自分の人生は自分の人生なのだから、好きに生きたらいい、別に誰にも文句を言われる筋合いはない」という人もいると思います。そのとおりです。ですが、もう少し、長い時間、広い視野で見ると、自分個人とは小さな存在ではあるが、何か役割があるのではないかと考えることも可能です。
100年以上続く老舗のある経営者は、「私にはこの長く続いている会社(老舗)を後に続ける「役割」がある」と話してくれました。「たすき」を渡すように、「次の世代にこの老舗をつなぐ責任がある、つぶしてはいけない」というのです。また、老舗に養子で入ることは「誇り」であると話してくれました。自分の好きな人生だけを歩くのではなく、歴史ある老舗の「たすき」をつなげることに「誇り」を感じ、親に「しっかりやってこい!」と送り出されたそうです。
やりたいことをやる人生もありますが、人から必要とされる人生もあるのだと思います。「役割」という考え方があれば、人から必要とされる人生に誇りや意義を感じることができるのだと思います。野球にも攻撃の役割や守備の役割があるように、映画や舞台でそれぞれの俳優に役割があるように、それぞれの人生に役割があるのでしょう。そして、自分の人生においては、自分が主人公となるのです。