「経営理念」とは「遺言」か?

【質問】あなたはいま、何歳でしょうか?

20代ならまだ独身かもしれません。
30代なら結婚をして子どもができた頃でしょうか?
40代なら子どもが小学生か中学生くらいでしょうか?

50代なら子どもはもう大学生かも知れません。
60代なら子どもは社会人になり、結婚しているかもしれません。
70代ならもう孫がいるかもしれません。

たとえば、あなたがいま、43歳で10歳の子どもがいるなら、10年後にはあなたは53歳になり、子どもは20歳になります。当たり前のことですが、43歳の時には想像がつきづらいのです。同じように50歳のあなたは、10年後に60歳となり、いわゆる還暦を迎えます。でも、たぶん、まったくそんなことを考えていないのではないかと思います。

つまり、人は未来に対して思いがいきづらいのです。なかなか想像ができない。しかし、「経営理念」とは会社の未来のことを考えることになるのです。仮にあなたが、半年後に「死ぬ」ことになったとしたら、あなたはどんな「遺言」を残すのでしょうか?

個人の「遺言」を奥さんや子どもに残すこともありますが、社長として会社に残す「遺言」が「経営理念」ともいえます。仮に自分の体がこの世から亡くなったとしても、「経営理念」という思想、信念は残ります。お金を残すとか、名誉を残すといったことよりも、経営者であれば「経営理念」を残すことのほうが価値があると考えることもできます。

肉体を持ち、現世に生きているわれわれはどうしても、名利の欲にとらわれがちです。お金が欲しい、名誉が欲しい、いい家やいい車、おいしい食べ物、そして地位や役職や表彰状やトロフィーが欲しくなります。それは事業を拡大するエネルギーでもありますから、大切なものだと思います。しかし、多くの人がそればかりを追いかけ、思想や信念、つまり「経営理念」というものを後回しにしてしまいます。

その考え方を一度、スパッと断ち切り、いったん、半年後に「死ぬ」ことが決まったとして、「遺言」を会社に残すような気持ちで「経営理念」をつくってみれば、「経営理念」にあなたの「魂」が入ります。いま、われわれの会社はこういう状況だけれども、「私は会社をこうしたい」「皆さんにこうあってほしい」「こんな会社でありたい」「こういうことを大切にしてほしい」という心の底からの思いの集積が本物の「経営理念」となるのです。

「そうはいえ、毎日が忙しくて......」というのが現状かと思います。たしかに、半年後に必ず死ぬわけではないので緊迫感はそれほどないのかもしれません。しかし、「一寸先は闇」ですので、いつ何があるかわかりません。これを機に、自分の人生を振り返り、家族に対してそして会社の未来に対してあなたの「思い」をまとめてみるのはいかがでしょうか?

「いつ死んでもいい人生」、後悔しない人生であるためには、「経営理念」という「遺言」をつくりあげておくという考え方もあると思います。また、「経営理念」という「遺言」をつくるプロセスが、あなたの人生をより深く、より密度の高いものにするきっかけになるのではないでしょうか?

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