経営理念つくるヒント 時間とお金と人

自分が影響を受けたことを知るには、(1)時間、(2)お金、(3)人という切り口で見てみることができます。

(1)時間自分の人生とは時間の集積ですから、自分が何に時間を使ってきたかを確認してみると、自分の興味関心がわかります。例えば、読書してきた本。

どんなジャンルの本が好きだったか、どんな本をたくさん買ってきたか、図書館や本屋に行ったときにどんな本を手にする傾向があるか、といったことを自分で確認してみます。自分の家の本棚にある本を見るだけでもわかると思います。歴史の本が多い、金融、経済の本が多い、経営の本、セールスの本が多い、などです。

また、スポーツをしてきた時間が多いのか、音楽や室内での時間が多いのか。さらに、一人でやることが多いのか、大人数でやることが多いのか。外で複数の人でやる野球やサッカーに多くの時間を使い、そこから人との関係を学んできたという人もいるでしょう。一方、ピアノや書道のように室内で一人でやる芸術的なことから多くを学んだという人もいるかもしれません。

やってきたことは人それぞれですが、自分がたくさんの時間を使ったものから、何かを学んできたはずです。その過程で、自分の価値観がつくられてきたと思って振り返ってみてください。

(2)お金過去において、自分が一番多くのお金を使ってきたものは何でしょう?そして、それはいくらくらいでしょうか?

使ったお金は時間を使ってきたものと比例していると思います。野球が好きで道具を買い、遠征に行き、試合をたくさん観戦してきたのなら、野球に使ったお金はたくさんあるはずです。ある人はそれが、ゴルフだったり、音楽だったり、人づき合いだったり、お酒だったり、女性だったりします。そして、使われたお金もさまざまでしょう。

このあたり、人生いろいろ、男もいろいろ、女もいろいろですので、どれがいいどれが悪いというわけではありません。まさに、人それぞれの価値観があり、人生があり、お金の使い方があるわけです。虚栄心でものを買う傾向がある人もいます。ちょっと気にいると衝動的に大きな金額の買い物をしてしまう傾向がある人もいます。自己投資をするのが好きな人もいます。ケチケチしてお金をあまり使わない人もいます。こういった自分の傾向と無意識にしている判断基準を振り返っておくことです。

それは、社長という個人のお金の使い方の範囲ならば、まだかわいいものですが、会社のお金となると数億~数十億、数百億円となるので価値観、つまりフィロソフィが必要になってくるのです。自分のお金の使い方を知ることは、経営をするうえでとても大切な要素です。

(3)人自分が尊敬する人はどんな人でしょうか?いままで、「この人にならついていきたい!」と思った人はどんな人でしょうか?その人のどこが良かったのでしょうか?いままでで、一番嫌いな人はどんな人でしょうか?その人のどこがイヤだったのでしょうか?

ここにもあなたの判断基準が出てきます。しかし、聞かれなければ思いもしないことです。どうしてそう思ったのだろうと、一度、冷静に振り返ってみることが大切なのです。尊敬する人、あこがれる人が持っている資質は、あなたがそうありたいと思うものです。嫌いな人が持っている資質は、あなたがそうありたくないと思うものです。

たとえば、尊敬できる人に対して、「あの人は裏表がない、信頼できる」と思うのならば、「裏表なく、信頼できる人になろう」が経営理念の中に出てくる項目かもしれません。また、あなたが嫌いな人を「人に対して思いやりがない」と思ったならば、「思いやりがある経営をしよう」が経営の信条に出てくるかもしれません。

このように、経営理念は何か遠いところにあるものではなく、自分自身の体験や日常の中にあることをベースにつくり上げることをおすすめします。ただのきれいごとを並べるのではなく、実体験から感じたもの、こころの底からそう思えたもののほうがより自分のものになります。

そしてそういった言葉のほうが、話すときに嘘がなく、よどみがありません。また、その言葉には人を説得する力があります。人間には不思議な力があるようで、「どこか他人事だな」という言葉と、「どこか力がある、本気だな」という言葉の違いを感じることができるようです。

「甘く、軽く、浅い」経営をする人は、言葉にもどこか「甘く、軽く、浅い」香りがするものです。それはその人の生き様から出てくるものだと思います。そして、自らの生き様を反映する言葉を見つけるには自分の人生をしっかりと振り返り、深く見つめ直す時間が必要になります。そのプロセスこそが、経営理念をつくり上げるプロセスとなるのです。

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