経営理念があり、業績が良い会社はどのくらいあるのか?

経営理念と業績の関係を4つにするとこうなります。

(1)経営理念があり、業績が良い =◎
(2)経営理念があり、業績が悪い =△
(3)経営理念がない、業績が良い =△
(4)経営理念がない、業績が悪い =×

(1)経営理念があり、業績が良い会社は理想的です。さらに成長されることを期待します。もうこれ以上いうこともありません。

(2)経営理念があり、業績が悪い会社は、経営理念先行型で経営戦略がない、営業努力が足りないなど、何か業績を上げる要素が足りないといえます。

(3)経営理念がない、業績が良い企業は、注意が必要かもしれません。ここでいう「経営理念がない」の定義が大切です。「経営に対する強い信念がない」「まだはっきりとした判断基準ができていない」というものであればいいのです。しかし、「経営理念がない」ということが、「悪い経営理念を持っている」ということだと問題があります。たとえば、「自分だけ儲かればいい」「人殺し以外は何をしてもいい」といった判断基準です。そういった経営理念、判断基準を持ち続けると、どこかで世の中からの制裁を受けることになると覚悟しておいたほうがいいのかもしれません。

(4)経営理念がない、業績が悪い会社は倒産型企業といえるのかもしれません。

さて、この4つの分類についてもう少し詳しく見ていきたいと思います

「80:20の法則」1896年イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見したといわれる80:20の法則では、上位20%の原因が80%の結果を生むとされています。この80:20の法則をもとに考えると、100人の経営者がいれば、20:60:20に分けることができます。上位20%の経営者は経営理念を大切にし、中位60%の経営者は経営者についてはどちらでもないと思い、下位20%の経営者は経営理念については必要ないと思っているとなります。

この文章を読まれている皆さんは、「経営理念について考えよう」「経営理念をつくろう」と思っているわけですから、その時点で上位20%に入っている人、または入ろうという人といえます。(1)の人です。

今度はさらに、ヨコ軸に業績を入れてみます。業績の比率も同じように20:60:20に分けます。業績の上位20%、中位60%、下位20%を右から書きます。ここからわかるように、

(1)経営理念を大切にする上位20%の企業であり、かつ業績が良い上位20%の企業というのは、20%×20%で全体の4%しかないといえます。

(2)経営理念はほどほどの中位60%の企業であり、業績が良い上位20%の企業というのは、60%×20%で全体の12%。

(3)経営理念は大切にしない下位20%の企業であるが、業績が良い上位20%の企業というのは、20%×20%で全体の4%。

(4)経営理念を大切にする上位20%の企業であるけれども、業績が中位の60%の企業というのは、20%×60%で全体の12%。

(5)経営理念を大切にする上位20%の企業であるけれども、業績が悪い下位20%の企業というのも、20%×20%で全体の4%。

さらに、(6)経営理念は大切にしない下位20%の企業であり、業績が悪い下位20%の企業というのも、20%×20%で全体の4%あるということになります。

日本の企業数は253万社あり、個人事業主を入れると346万社となります。253万社の上位20%は、50万社です。また、売上が10億円を超える企業数は4.4%というデータもあります。自分自身の会社がいま、どこの位置にあるのかをもう一度確認しておいてください。

*国税庁「会社標本調査」=法人税の納税手続きを行なった法人の数(253万社、平成24年)・総務省・経済産業省「経済センサス」活動実態を確認集計(346万社)、売上10億円超の企業率(中小企業実態基本調査平成25年)

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