経営理念がない、ある、強くある。経営戦略がない、ある、強くある。つまり、3通り×3通りで9通りの図表でつくりました。そしてさらにこれに、それが「実行されている」という軸を置き、実行していない、している、強くしているという3つの視点で見ると、3×3×3=27通りの軸で経営を見ることができます。
これは言葉を換えれば、「心・技・体」の経営だといえます。「心」とは経営理念であり、「技」とは経営戦略であり、「体」とは実行といえます。また、『論語と算盤』(=経営理念と経営戦略)の「実践」ともいえます。この27通りをは表で示すことができます。
さまざまな経営者が、経営理念がある、ないということだけで経営を語ることがありますが、ご存じのように、経営は経営理念だけではできません。経営には「心・技・体」という3つの視点は不可欠です。「心・技・体」の3つの視点から見た、このような27通りの箱の最初は、経営理念もなく経営戦略もない状態から、そして何もしていない状態から始まります。
創業の頃は経営理念も経営戦略もないけれども、めくらめっぽうにとにかく長く働くというのは実行の部分が非常に優れている形態です。理念が先行して手足が動かずに業績が上がらない会社もあります。また、戦略中心に理屈っぽく考えるが理念が欠落している会社もあります。いろいろなタイプがありますが、最初はどれが一番いいということもないのだと思います。
現状から経営戦略主体で動いていく会社もあれば、経営理念を主体で動いている会社もあるでしょう。しかし、たとえ経営理念があり経営戦略があっても実行の度合いが弱ければ、一番上の理想とする「経営理念が強くあり、経営戦略も強くあり、それが強く実行されている」というところにはまだ到達していかないわけです。
経営は経営理念だけで語れるものではなく、経営戦略だけで語れるものでもなく、ただただ実行すればいいというものでもありません。ちょうど将棋の駒を一つひとつ進めるように、この27通りのコマを一つひとつ進めながらいい経営を目指してゆくイメージです。まずは図表を見て、「いまこの27通りの中のどこにいるのか?」ということを確認してみましょう。次の一手は経営理念主体で行くのか、経営戦略主体で行くのか、または実践主体で行くのかは社長であるあなたが決めることになります。