「論語と算盤」を軸に4つの事象に分けて経営をとらえてみる
『論語と算盤』=経営理念と経営戦略「経営は戦略がなければやっていけない、理念がなければやる資格がない」
『論語と算盤』は、「経営理念と経営戦略」と言い換えることができます。縦軸に経営理念、横軸に経営戦略ととると、縦軸には経営理念がある、ない。横軸に経営戦略がある、ない。このように分けると4つの事象ができます。
(1)経営理念もなく、経営戦略もない。
(2)経営理念がなく、経営戦略はある。
(3)経営理念はあり、経営戦略がない。
(4)経営理念もあり、経営戦略もある。
(1)経営理念もなく、経営戦略もない状態では、経営自体がうまくいくとは思えません。×の状態です。
(2)経営理念がなく、経営戦略はある状態は△です。会社を立ち上げたばかりの状態ではよくあることです。経営理念と呼べるようなものはなく、経営戦略だけはある。どうすれば利益が出て、会社の経営を続けていけるのかということを、考えてやっている状態です。
(3)経営理念はあり、経営戦略がない状態も△です。つまり、経営理念があっても経営戦略がなく、経営はやはり不安定な状態です。理念先行型といえます。
(4)経営理念もあり経営戦略もある状態が理想的といえます。○の状態です。しかし会社を立ち上げたばかりのときには、経営理念があり経営戦略があるというのは、なかなかできないものです。
経営理念と経営戦略の度合いをさらに広げて考えてみましょう。縦軸に経営理念をとり、ない、ある、強くあるの3段階とします。横軸に経営戦略をとり、ない、ある、強くあるの3段階をとります。そうすると合計9通りのワクができます。先ほどの(1)、(2)、(3)、(4)の次いで、より細分化して考えることができます。
(5)は、経営戦略はないが経営理念が強くある。これは○の状態です。
(6)は、経営理念はないが経営戦略が強くある。これも○の状態です。
(7)は、経営理念が強くあり、経営戦略がある。これが◎の状態です。
(8)は、経営理念があり、経営戦略が強くある。これも◎の状態です。
(9)は、経営理念が強くあり、経営戦略も強くある。これは三重丸の状態です。
ここで、9通りの経営理念と経営戦略の関係を分けることができます。
経営理念があり、経営戦略がある(4)と同じように、経営理念が強くあり、経営戦略がない(5)の会社もあれば、経営戦略が強くあるが、経営理念がない(6)の会社も存在します。それぞれ一長一短を持ちますが、それぞれ経営の一つの形です。
(7)と(8)は、(4)(5)(6)がより深化した形です。経営理念が強くあり、経営戦略を持てば、経営が安定します。経営理念があり、経営戦略を強く持っている会社も、経営が安定している状態といえるでしょう。(4)(5)(6)の状態よりもさらに一つステージが上がっているといえます。
さらにその上のステージが、経営理念が強くあり経営戦略も強くあるという状態となっていくわけです(9)。そのように、それぞれのステージが一つずつコマを進めるように上がっていくと覚えておいてください。
(1)→(2)→(6)→(8)→(9)と進む会社もあれば、(1)→(3)→(4)→(7)→(9)と進む会社もあるでしょう。どれがいいということではなく、それぞれの会社の状況によって進み方が違うのだと思います。