「企業は社会の公器である」と、松下幸之助氏もドラッカーも述べています。つまり、企業とは社長の私物ではなく、公の器(うつわ)であるということです。企業は社会に存在させてもらっているものである。
企業は単独で存在するものではない。顧客、に取引先、に地域があってはじめて存在が可能なのです。企業の集合体が社会をつくり上げると考えれば、企業は社会の一部であり、公器といえます。したがって、自社の利益だけを追求するのではなく、社会に対しても貢献する責任が出てきます。
昔、「経営理念が大切だ!」と説くある経営者が、「私は取引をするときに絶対に損をしないようにしている」と話したときにちょっとがっかりしました。なぜなら、私がその経営者とつき合うと必ず「私が損をする」ことになるからです。そして、若くて未熟だった私はたしかにそうなりました。
表面上はきれいなことを言っている経営者が、実際につき合ってみると、えげつない人だったということがあります。しかし、「企業は社会の公器である」ということを考えれば、自分だけよければいいという考え方を抑える必要もあります。