3つの要素がそろって初めて経営は成り立つ、一つの要素が欠けてもバランスが悪くなる
理念と戦略と行動これを読まれているあなたは、経営者やリーダーの方だと思います。したがって、経営理念だけではなく、経営をするうえで必要となるもう少し大きな全体像を見ていきましょう。
経営をするうえでの考え方をこのように階層に分けて表わしました。
(1)経営理念
(2)経営戦略
(3)行動
経営において必要な要素を「心・技・体」に分けるとすると、その比率は、次のようになるのではないかと思っています。
(1)心(=経営理念) 40%
(2)技(=経営戦略) 30%
(3)体(=実行) 30%
「経営理念だけを唱えても、戦略と実行が伴わなければ成果は出ません」
「経営戦略だけをつくっても、理念と実行が伴わなければ組織は動きません」
「実行だけをがむしゃらにやっても、理念と戦略がなければ効果が出ません」
松下幸之助氏は「経営戦略を確立すれば経営は50%うまくいく」と話されたそうです。経営をする根本となる、価値観、原理原則、信条、判断基準などをはっきりさせることで、社員全体のベクトルが合い、ブレがなくなるからだといえます。
さらにもう少し具体的な仕事のルール、方向性を指し示す戦略が30%の比率でその上に乗る。そしてその上により具体的な実行が30%の比率であると考えるとわかりやすいのかもしれません。つまり、心・技・体=理念・戦略・実行の3つがそれぞれ大切なのですが、一番の根本となる経営理念の比率がやはり多くなる、ということです。理念とは信念、哲学、原理原則です。戦略とは戦い方のルールです。戦略を決定するためには理念が必要です。ところがある意味、理念でもあるが戦略ともいえるような内容のものがあります。
たとえば、「No.1主義」。これはNo.1になることをよしとする経営理念です。しかし、同時にNo.1になるために、No.1でないことをやめるというNo.1戦略ともいえます。どこまでが理念(原理原則)でどこまでが戦略(ルール)となるのか、わからなくなる場合があります。
さらに、「経常利益率10%を目指す」。これは理念でしょうか?戦略でしょうか?方針でしょうか?「経常利益10%を目指すのは経営観としての強い信念である」といえば経営理念の一部です。また、これは経営方針であり、戦略であるといえば、そうです。さらに、「経常利益10%を目指すのはわが社の目標です」ともいえるのです。こうなると、言葉の定義も大切なのですが、「何を強く思っているのか?」を明確にしてわかるように言葉で伝えることのほうが重要だと気づきます。